2005年 11月 15日
経済産業省の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」解説の3回目です。今回は、個人情報の利用について見ていきたいと思います。 個人情報保護法では、個人情報の利用については、本人に通知した「利用目的」内の利用であれば制限を設けていません。しかし「利用目的」を超えて利用する場合については、制限が設けられています。 法第16条第1項 【ガイドライン】 個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱う場合は、あらかじめ本人の同意を得なければならない。 利用目的を超えて利用をする場合は得なさいということですね。同意が必要なケースとして以下のような事例が挙げられています。 【同意が必要な事例】 このような利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱う場合を「目的外利用」といいます。 個人情報の利用において、よく判断に迷われたり、間違った解釈をされるのが、「目的外利用」にあたるかどうかという点です。 どこの会社にもある取引先情報は、名刺から収集されるケースが多いでしょう。名刺の情報の利用目的は「取引に関する連絡のため」であると考えてよいでしょう。ただし、名刺交換時にはいちいち利用目的を通知しないのが一般的です。 個人情報保護法にも 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合を利用目的の明示の適用除外としています。 ガイドラインでも以下のように利用目的を明示する必要がないケースとして事例をあげています。 一般の慣行として名刺を交換する場合、書面により、直接本人から、氏名・所属・肩書・連絡先等の個人情報を取得することとなるが、その利用目的が今後の連絡のためという利用目的であるような場合(ただし、ダイレクトメール等の目的に名刺を用いることは自明の利用目的に該当しない場合があるので注意を要する。) 名刺に記載してあるメールアドレスに、自社メルマガを配信したりすることは、本来の利用目的の「取引に関する連絡のため」を超えているかというと、判断がわかれるところです。メルマガという形で取引に関する連絡を定期的にしているのだ、と主張する企業も多いからです。 このようなケースでは、名刺に記載された情報を利用される本人の立場に立って考えてみると良いでしょう。 事前に、口頭でメルマガ配信について通知されていれば、断ることもできたはずですし、不満を持つ人は少ないでしょう。 しかし、何の通知もなしに、メルマガが配信されれれば(内容にもよりますが)無断で使われているという意識は生まれてしまいます。 「目的外利用」をされたという意識は、取引上の大きなデメリットになることからも、注意が必要です。顧客のためと思って実施しているサービスが一部の顧客には「目的外利用」となるようなケースがあるのです。 ちなみに、名刺交換時にきちんと利用目的を相手に通知するために、名刺の裏に「頂いた名刺情報の利用目的について」という記載をされている企業もあります。なかなか良い方法だと思いませんか?
by office-izutani
| 2005-11-15 19:54
| 誰でも簡単【個人情報保護】
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