カテゴリ:LLP解説( 10 )

2006年 02月 21日
LLPの融資制度
国民生活金融公庫など政府系の4つの金融機関が、LLP(有限責任事業組合)を対象とする融資を開始して

いることをご存知でしょうか。
新聞報道などによれば、平成17年末まででLLPの設立数は全国で約300、近畿では平成18年1月中旬ま

でに大阪、京都、神戸の3市で約40のLLPが設立されています。
LLPの特徴は、有限責任性(出資者が出資額までしか責任を負わない)や内部自治原則(利益や権限の配分

が出資金額の比率に拘束されないなど)、構成員課税(LLPに課税されずに出資者に直接課税される)とい

ったところにあり、あらゆる分野での共同事業に活用されていくことが期待されています。
しかし、LLPは法人格を持たない事業体であるために責任の所在が未確定などの理由から、組合名義での借

り入れに支障をきたすこともあったようです。
こうした課題を解消する資金調達支援の枠組みを用意し、組合名義での資金調達を円滑に行えるようにするこ

とで、一段の創業を促し、産業の振興を図ることが主な目的となっています。
LLPに対する融資を開始しているのは、前述の国民生活金融公庫のほか、中小企業金融公庫、商工組合中央

金庫、日本政策投資銀行の4行。
いずれも設備資金や運転資金などが貸付の対象となっています。融資金額や金利、融資期間は各行とも様々。

国民生活金融公庫では無担保、無保証人の融資制度も用意されています。
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by office-izutani | 2006-02-21 15:16 | LLP解説
2005年 10月 14日
LLP(有限責任事業組合)の運営について⑤ 組合契約の変更
LLP(有限責任事業組合)は契約によって成り立っている組織です。組合員の加入や脱退の記事でも書いたように、社会情勢やLLP内部の変化に応じて、この契約は自由に変更することが可能です。

組合契約の変更は絶対的記載事項であっても、任意的記載事項であっても、組合員全員の同意があれば可能です。総組合員の同意を得た組合契約書は、各組合員が署名又は、記名押印し、それぞれが保管することになります。

また、組合契約の中の登記事項が変更された場合は、変更の登記が必要となります。以下のいずれかを変更した場合は、変更した組合契約書を添付し、変更登記申請を行うことになります。
1.事業
2.名称
3.組合員の氏名または名称及び住所
4.契約の効力発生日
5.存続期間
6.契約で特別に定めた解散自由

これらの事項に変更が生じる際には、主たる事務所の所在地においては2週間以内、従たる事務所においては3週間以内に、変更の登記を行わなければなりません。

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by office-izutani | 2005-10-14 11:44 | LLP解説
2005年 10月 11日
LLP(有限責任事業組合)の運営について④ 組合員の脱退
LLP(有限責任事業組合)は組合員の脱退も認めています。組合員の1人が抜けても、LLPを解散することなく、残るメンバーでLLPを存続することができるのです。

ただし、LLPでは、原則「やむを得ない場合」をのぞいて脱退することはできません。組合員が共同で事業を行うLLPでは、1人の組合員の脱退が、他の組合員に大きな影響を与えるからです。事業で利益が生じている時だけ参画し、損失が発生する直前で脱退するといった事が認められれば、残った組合員に不利益が生じることになります。更には、脱退した時点で、脱退した組合員が出資した財産を返還することになり、LLP自体の事業計画に大きな影響を与えることになるのです。

LLPで脱退が認められる「やむを得ない場合」とは
・他の組合員の組合契約に反する行為によって損害が出た場合
・LLPの事業計画が変更され、共同事業を行うに耐えない状態になった場合
などとされています。

これらのケース以外でも、脱退については、例によって組合契約で別途定めることが可能です。ただ、脱退の理由ごとに、どのような対応をするかを個別に定めるのは現実的ではありません。実際には、全組合員の殿程度の同意があれば、脱退を認めるかを定めておくことになるでしょう。

組合契約で「絶対に脱退を認めない」という取り決めをする事は公序良俗に反するため無効となります。

他にも、組合員が死亡した場合、破産手続き開始の決定を受けた場合、貢献開始の審判を受けた場合などは、当然に脱退することになります。
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by office-izutani | 2005-10-11 09:17 | LLP解説
2005年 10月 06日
LLP(有限責任事業組合)の運営について③ 組合員の新たな加入
LLP(有限責任事業組合)は組合員の新規加入を認めています。LLPも株式会社等と同じように、事業活動を行ううえで組織を大きくする必要性が発生し、新たな人材が加わるといったこともあるからです。このような組合員の新規加入の要件は、組合契約を変更と新たな組合員の出資の履行とされています。
ただ、LLPは組合員の個性や能力が重視される制度ですので、設立後に新たな組合員が加わる事は重大な事項となります。新たな組合員の加入によって、既存の組合員が不利益を被る可能性があるからです。ですから、組合員の新規加入については、原則、組合員の全員一致で決定することになります。

ただ、組合員の新規加入は、LLPの立ち上げ前に、メンバー間でよく協議しておく方がよいでしょう。比較的、加入の条件を低くして、多くの人が参加できる、開放的な組織にするのか、それとも、できるだけ立ち上げメンバー以外の人材を必要としない閉鎖的な組織にするのか?立ち上げ時の組合員の考え方によって、大きな違いが出てきます。立ち上げ後に、モメる事が無いように組合契約書に新規加入の要件を定めておく方がよいかもしれません。
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by office-izutani | 2005-10-06 23:47 | LLP解説
2005年 09月 26日
LLP(有限責任事業組合)の運営について② 業務執行とは
今回はLLP(有限責任事業組合)において組合員実施する活動である「業務執行」について解説していきたいと思います。
「業務執行」とは、対外的な契約締結などのLLPの営業に関する行為や、その契約締結のための交渉、あるいは、具体的な研究開発計画の策定・設計、帳簿の記入、商品の管理、使用人の指揮・監督等、組合の事業の運営上重要な部分が含まれるとされています。

LLPの組合員は全員が業務を執行する権利を有し、義務を負います。つまり、組合員は何らかの形で、業務執行を行わなければならず、出資のみの組合員は認められないということです。
なぜ、なぜLLPの組合員は業務執行に参加しなければならないのでしょう?出資のみの組合員は認めてしまうと、制度設立の目的から外れてしまうからだと言われています。
LLPでは、組合契約に基づき、組合員全員がそれぞれの個性や能力を活かしつつ、共通の目的に向かって主体的に組合事業に参画するという制度のニーズに基づいて導入した制度です。このため、組合員全員の業務執行への参加を義務付けられているのです。 また、こうした組合員への業務執行への義務付けや重要な意思決定への総組合員の同意は、損失の取込だけを狙った租税回避目的の悪用を防ぐ効果もあります。
出資のみの組合員がいるような場合は、共同事業性が無いと見なされ、民法組合として取り扱われることになります。

この「業務執行」ですが、全て共同で行わなければならない訳ではありません。当然、「研究開発担当」「マーケティング担当」「会計担当」と業務を分担する事は認められています。
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by office-izutani | 2005-09-26 19:32 | LLP解説
2005年 09月 15日
LLP(有限責任事業組合)の運営について① 意思決定
今回は、LLP(有限責任事業組合)の運営について解説していきたいと思います。
株式会社では、株主総会や取締役会という意思決定機関を置き、会社の運営にかかわることを決めていきます。しかし、LLPは取締役会などの機関はありません。では、LLPの運営はどのような形で決めていくのでしょうか?LLPの「業務執行」に関する意思決定は、原則として組合員の全員一致で行うことされています。組合員全員で構成される組合員の総会で、全員の意思を確認しながら、運営していく事にという事です。

ただ、いくら共通の目的に向かって集まった組合員でも、全員一致では、意見がまとまらず意思決定が遅くれてしまう可能性があります。また、全ての業務に関する意思決定において、全員の意見を聞いていては、本来の事業が進まなくなってしまうでしょう。

しかし、LLPは意思決定の方法を全員一致以外の方法で定めることも可能とされています。ですから、大きなLLPの場合は株式会社のように、組合員から数名の代表者を選び、少数の代表者グループに意思決定を委任する事も可能です。但し、
①重要な財産の処分及び譲受け、
②多額の借財
については、全員一致又は組合員の3分の2以上の同意で決定することが必要とされています。

また、LLPでは、重要な契約の締結や事業計画策定、研究開発計画の策定、人事権の行使といった組合の事業の運営上、重要な「業務執行」と、日常的な業務や軽微な契約などの「常務」とに区分し、「業務執行」に関する意思決定を全員一致を原則としています。さらに「業務執行」と「常務」の具体的な区分についても、自由に決定できますから、契約の詳細事項を決める組合員間の規約などで定めて方が良いでしょう。
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by office-izutani | 2005-09-15 23:37 | LLP解説
2005年 09月 12日
LLP(有限責任事業組合)設立の流れと注意点
今年の8月から設立できるようになったLLP(有限責任事業組合)ですが、設立についてはどのような手続きが必要なのでしょうか。今回は、LLP設立の流れと、注意点について説明したいと思います。

LLP(有限責任事業組合)の設立は

LLP契約の締結】→【出資金の払い込み】→【組合契約の効力発生登記

という3つのステップで完了します。

株式会社のような「公証人による定款認証」の手続きは必要ありませんし、NPO法人のような認定や許認可も必要としません。

この3つのステップごとの、注意点をみていきましょう。

1.LLP契約の締結
LLP設立の最初のステップとして、組合員によるLLP契約(有限責任事業組合契約)を締結があります。この契約で、LLPの運営の基盤となることを定め、組合員全員が署名又は記名押印した契約書を作成します。
契約書で定める事項には、LLP法で定められた事項(絶対的記載事項)や組合員が任意に定める事項(任意的記載事項)等があります。。
LLP契約書の絶対的記載事項は以下のとおりです。
① 組合の事業
② 組合の名称
③ 組合の事務所の所在地
④ 組合員の氏名又は名称(法人の場合)及び住所
⑤ 組合契約の効力が発生する年月日
⑥ 組合の存続期間
⑦ 組合員の出資の目的とその価額
⑧ 組合の事業年度

2.出資金の払い込み
次のステップとして、出資金の払い込みがあります。出資金は契約書に記載した全額払い込む必要があります。出資金の額ですが、出資金の額に下限はないため、1円以上であれば、いくらでも良いとされています。(LLP設立には、最低二人の組合員が必要ですので、出資金は2円以上が必要です)
また、出資は、現金だけではなく、現物資産(動産、不動産、有価証券等)や知的財産権での出資が認められています。但し、これらの現物資産は貸借対照表に計上可能なものに限られます。労務出資については認められません。ただし、少なくとも1円以上の現金による出資があれば、利益分配は柔軟に決定することができるため、実質上の労務出資は可能です。「出資金を全額払い込むこと」、「現物出資を全部納付すること」が、LLP契約の効力の発生要件の一つとされています。

3.登記
LLP設立の最後のステップとして組合契約の登記があります。LLP契約の登記は、は事務所の所在場所を管轄する法務局において組合契約の登録申請をすることで行います。LLP契約の原本と出資の払い込みを証明する書面と各組合員の印鑑証明等を持って、法務局で申請をすることとなります。
なお、LLP契約の登記の際の登録免許税6万円が必要です。また、登録申請書類の審査には1週間程度かかります。

登記簿に記載しなければならない事項は、以下のとおりです。
① 組合の事業
② 組合の名称
③ 組合の事務所の所在場所
④ 組合員の氏名又は名称(法人の場合)及び住所
⑤ 組合契約の効力が発生する年月日
⑥ 組合の存続期間
⑦ 組合員が法人の場合の職務執行者
⑧ 組合契約で特に解散事由を定めた時はその事由

以上のステップが完了すれば、LLP設立は完了です。

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by office-izutani | 2005-09-12 14:51 | LLP解説
2005年 09月 07日
LLP(有限責任事業組合)の活用法
以前の記事でも取り上げたLLPですが、制度が始まってから一ヶ月が過ぎました。
ネットでもいくつかの活用事例を見ることができますので、紹介してみます。

サムライ業の専門家達による活用例「さおだけ屋」で有名な公認会計士 山田真哉が設立したLLPです。ニュースでも取り上げられていましたね。公認会計士、税理士、行政書士、ファイナンシャルプランナーという専門家によって組織されています。コンサルティング、情報提供サービスが主な事業とされています。

アニメーション制作での活用例ウェブ製作やアニメ作品の制作企画を行っている企業と、アニメ制作会社と共同で設立したLLPです。映画やアニメ製作での活用例は、アメリカでは一般的です。このLLPが成功すれば大手の映画制作会社でも、映画製作資金を集める場合に有効に活用されるかもしれません。

他にも発表はされていないものの、大手企業、中小企業での活用の動きもあり、初年度に3000件設立という話も出ています。当面は、専門家の集まり、企業間のプロジェクトとして活用されていく形が主流となりそうです。
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by office-izutani | 2005-09-07 00:00 | LLP解説
2005年 08月 30日
LLP(有限責任事業組合)とLLC(合同会社)
以前の記事で取り上げたLLP(有限責任事業組合)LLC(合同会社)ですが、非常に似た制度で、違いがわかりにくいという声をよく聞きます。そこで、LLPとLLCの共通点と違いについて見てみたいと思います。

まず、共通点見ていきましょう。

共通点1 人的会社であること
LLPとLLCは「所有と経営が一致」した人的会社です。原則として、社員(構成員)は出資者であり、業務執行者(経営者)なのです。これに対し、株式会社のような「物的会社」は所有と経営の分離が図られています。

共通点2 有限責任制LLPとLLCは出資者が出資限度額までしか責任を負わない、有限責任制をとっています。有限責任と無限責任、どちらが良いかといえば、思い切ってチャレンジのできる有限責任のほうが良いに決まっています。これまで、人的会社=無限責任という枠組みが守られてきましたが、人的会社でも有限責任が認められることになったのです。

共通点3 内部自治
出資者が業務執行者となるため、組織内部の取り決めは自由に決定することが可能です。出資割合に関係なく、利益配分や損失負担を決めることができます。また、取締役会や監査役などを設置する必要もありません。

次に違いを見てみます。

相違点1 法人格の有無
LLPは組合ですので、法人格がありません。しかし、LLCは会社ですので、法人格があります。法人格があるということは契約の主体になれるということです。この点については、LLCの方が有利といえます。

相違点2 構成員課税
LLPは法人ではないので、法人税がかからず、利益が出た場合は、直接構成員に課税されます。法人税を課された上で、配当にも課税されるといった二重課税を回避することができます。しかし、LLCは法人ですので、法人税が課税されます。

このようにLLPとLLCは、有限責任の人的会社の制度であり非常に似ています。将来的に、LLCで構成員課税が認められるようになれば、LLCに一本化されるかもしれませんが、現状では、構成員課税のメリットを享受できるかを考慮したうえで、有限責任の人的会社設立を検討されてはいかがでしょうか。
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by office-izutani | 2005-08-30 23:40 | LLP解説
2005年 08月 03日
日本版LLP(有限責任事業組合)
今月1日に「有限責任事業組合(日本版LLP)契約法」が施行されました。
ベンチャー企業創生促進策の一環として出来た制度で、株式会社と民法組合の「いいとこどり」をした形態だといわれています。ちなみに、LLPとは、Limited(有限 Liability(責任) Partnership(組合)の略です。

この制度の特徴は、3つあります。

1.有限責任(株式会社のいいところ)
出資者(LLPの場合、組合員)が、出資額の範囲までしか事業上の責任を負わないため、出資者にかかる事業上のリスクが限定され、事業に取り組みやすくなります。

2.損益、権限の分配が自由(民法組合のいいところ)
出資者の間の損益や権限の分配を、出資比率と関係なく、出資者の労務や知的財産、ノウハウの提供などを反映して自由に決めることができます。
※株式会社においては、原則として出資比率に応じた損益の分配や議決権の分配が強制されます。

3.構成員課税(民法組合のいいところ)
構成員課税とは、組織には課税せず、出資者に直接課税する仕組みです。 つまりLLPには法人税は課されず、出資者への利益分配に直接課税されることとなります。 また、事業で損失が出たときには、一定額の範囲内で、出資者の他の所得と損益通算することができます。

さて、こんな「いいとこどり」のLLPの制度ですが、一定の制約もあります。

・出資だけの組合員が認められない
LLPの組合員は、全員が業務を執行する権利を有し、義務を負うため、何らかの形で、業務執行を行うことが必要です。
・株式公開できない
株式会社ではなく、組合ですので、当然、株式公開できません。

この点から、LLPは投資家からの出資を受けて、事業を立ち上げるという形態には向かない事がわかります。

LLPは、企業同士や、企業と個人、産学連携といった形で、法人や個人が連携して行う共同事業向きの制度といえます。 大企業は保有する研究施設を提供し、個人は独自の技術やノウハウや提供するといった事業形態に向いています。また、様々なスキルを持った専門家たちの共同体といった事業形態にも利用されそうな動きです。

一からの創業を目指す起業家の方々には、あまり関係ない制度だと思われるかもしれませんが、起業後、他社とパートナーシップを組むことになった場合、この制度が使えるかもしれません。

参考資料:LLPに関する40の質問と40の答え 経済産業省 産業組織課(平成17年6月)
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by office-izutani | 2005-08-03 00:00 | LLP解説